万年筆を使い始めたばかりのとき
「万年筆を使うためにはコンバーターが必要って聞いたけど、何?」
「コンバーターってどうやって使うの?」
と疑問を感じることも多いかもしれません。
僕も最初そうでした。
実はコンバーターの使い方は意外と簡単で、少しのコツさえつかめば、誰でもスムーズにインク補充ができるようになります。
初心者の方でも使えるように、本記事では万年筆のコンバーターの使い方を一から丁寧に解説します。
これを読めば万年筆をもっと存分に楽しめるようになること間違いなしです!

コンバーターについて完全解説していくよっ!
そもそもコンバーターとは?基礎知識


ボールペンやマジックペンなど、多くの筆記用具は買ったあとキャップを開ければすぐに使えます。
これはペン本体にもともとインクが入れられているためです。
一方、万年筆はキャップをはずしてもすぐには使えません。
自分でインクを用意して、万年筆に入れてあげることが必要となります。
インクの補充方式は3種類
万年筆にインクを入れるための方式は、大きく分けて3種類あります
まずインクを入れる前に、お手元の万年筆がどの方式かを確認しましょう
①カートリッジ式 | ②コンバーター式 | ③吸入式 |
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カートリッジという小さなプラスチック製の容器にインクが入っている ボトルインクを買う必要がない | コンバーターという容器を万年筆に装着する ボトルインクからコンバーターの吸入機構を使ってインクを吸い込む | 万年筆にインクの吸入機構が内蔵 高価格帯の万年筆に多い |
コンバーター式は、インクの種類や色を自由に選べるのがメリットです。
インクは「インク沼」と言われるほどに多種多様であり、自分の好きな色を気分によって選ぶことも楽しみの一つです。
なおコンバーター式は、コンバーターを取り外して代わりにカートリッジを使うことも可能です。
そのため「両用式」とも呼ばれます。
コンバーターの種類(回転式とプッシュ式)
コンバーター式は、更に2種類の方式に分かれます。
使い方はほぼ一緒ですが、インクを吸うときの操作の仕方が異なります。
回転式コンバーター | プッシュ式コンバーター |
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![]() ![]() 出典:PILOT CON-40 | ![]() ![]() 出典:PILOT CON-70N |
コンバーターの端のノブを回すことで中のピストンを上下させ、インクを吸い込む方式 | ボタンを押すことでピストンが動き、インクを吸い上げる方式 |
2種類のうち、現在主流なのは回転式コンバーターです。
国内外ほぼ全てのメーカーから回転式のコンバーターが販売されています。
一方で、構造上どうしても容量いっぱいまでインクを吸いこめないという弱点があります。
プッシュ式のコンバーターは、プッシュを繰り返すことで容量いっぱいまでインクを吸いこむことができます。
しかしプッシュ式のコンバーターを販売しているメーカーはあまり多くありません。
国内3大メーカーではパイロットのみCON-70Nを販売していますが、プラチナとセーラーからはプッシュ式のコンバーターは販売されていません。



コンバーターは、カートリッジと吸入式のいいとこ取りだね!
一個は持っておくと便利
コンバーターを使うときの3つの注意点
注意点その1 ボトルインクを買う必要がある
カートリッジ式とは異なり、コンバーター式ではボトルインクを別途買う必要があります。
ボトルインクはコストパフォーマンスが高く、万年筆を日常的に使う場合はカートリッジ式よりもお財布に優しいという点がメリットです。
注意点その2 メーカーごとに規格が異なる
コンバーターには規格があり、万年筆によって使えるコンバーターが決まっています。
海外メーカーの中には統一的に使える規格もありますが、 国内三大メーカー(パイロット、プラチナ、セーラー)はそれぞれ規格がちがい、互換性はありません。また海外メーカーのラミーやパーカーも独自規格を採用していて他のメーカーとの互換性はありません。
その万年筆がどのメーカーの種類のコンバーターが使えるかを必ず確認しましょう。
注意点その3 付け外ししすぎるとインク漏れの原因になる
コンバーターと本体との着け外しを繰り返していると、本体との接続部が緩くなってきて、インク漏れを起こすことがあります。
普通に使っている分にはほぼ問題はありませんが、インク漏れを防ぐために必要以上に着け外しをするのは控えたほうが無難です。
一旦コンバーターを付けたら、メンテナンスをする時など以外は外さないようにしましょう。



特に規格については注意!
メーカーが違う万年筆については、別々にコンバーターを用意する必要があるね
コンバーターの使い方(インクの入れ方)





ここからはコンバーターへのインクの入れ方を解説するよ!
① 万年筆の本体からペン先をはずす


まずは万年筆のねじをまわして、本体部分とペン先を分けます。
無理に回すと故障の原因になりますので、ゆっくりとやさくしく操作しましょう。
② コンバーターを差し込む


コンバーターをペン先と反対方向から差し込みます。
差し込みが不十分だとインク漏れの原因にもなるので、しっかりと奥まで押し込みましょう。
③ノブを反時計回りに回し、ピストンを下げる


このステップは回転式のコンバーターで必要となります。
プッシュ式の場合は不要なので、読み飛ばしてください。
インクを吸うためには、コンバーターの中のピストンを一番下まで下げておく必要があります。
ピストンが上にあると、ノブを回してもコンバーター内の空気が外に出ていくだけで、インクは吸えないためです。
コンバーターの後ろにあるノブを反時計回りに回しておきましょう。
目で見て確認して、ピストンが一番下まで下がっていればOKです。
④ペン先をインクボトルに入れる


ペン先を下にして、インクボトルの中に入れます。
このとき、ペン先にある丸い穴(ハート穴)までインクが浸るように入れましょう。
⑤ノブを時計回りに回し、インクを吸引
インクボトルの中にペン先をつけたままで、垂直にコンバーターを持ちながら、ノブをゆっくりと時計回りに回しながらインクを吸入していきましょう。


一回の吸入でだいたいこれくらい入ります。
⑥ペン先の周りの汚れを取る


最後に、ペン先の周りについた余分なインクを、やわらかい布やティッシュで拭き取りましょう。
押し付けすぎるとペン先が破損しますので、やさしく拭きます。



慣れれば数分でできるよ。これで使い始められるね!
インクをうまく入れるコツ
「なかなか上手にインクが吸入できない!」
というときのために、インクをうまく入れるためのコツをお伝えします。
ペン先をなるべく深くインクにつける
ペン先をインクボトル入れるのを最初は躊躇してしまいがちです。
しかし少なくもペン先に開いている穴であるハート穴までは入れないと、うまく吸入することができません
手で握るグリップ部である首軸まで濡れてしまっても大丈夫です。
後で拭き取れば何の問題もありません。
思い切って深くまでインクにつけましょう。
インクボトルに残っているインクの量を把握しておくこと
残っているインクの量が少なくなってしまい、そもそもハート穴までインクに浸すことができない場合もあります。
この場合はインクボトルを傾けるなどして、できるだけペン先が深く浸るように工夫しましょう。
コンバーターの洗浄方法


コンバーターは使っているとインクの色がついて汚れます。
そのまま使っていると固まったインクが詰まりの原因になったり、インクを変えて使うときに色が混ざってしまったりします。
万年筆本体と同じく、コンバーターも定期的に洗浄をしてあげましょう。
コンバーターの洗浄は、万年筆の洗浄と同時に行うことができます。
万年筆のペン先を水につけ、水の吸い上げと吐き出しを繰り替えすことでコンバーターの内部もキレイになります。
万年筆の洗浄は、こちらの記事の「ステップ② 水の吸い上げ/吐き出しを繰り返す」を参照ください。


汚れがひどくなかなか落ちないときは、万年筆からコンバーターを取り外し、直接水の吸い上げ/吐き出しをしてもOKです。


洗ったあとは柔らかいタオルやティッシュ等で水気を拭きましょう。
次に使うときに水気が残っているとインクが薄まってしまうので、十分に乾いてから使うのがオススメです。
コンバーターの使い方のまとめ



この記事のまとめだよ!
- コンバーターを装着することで、ボトルインクからインクを吸い込んで万年筆を使える
- 万年筆ごとに使えるコンバーターの規格が異なるので注意
- うまくインクを吸うには、ペン先を思い切って深くボトルインクまで入れよう
- コンバーターも定期的に洗浄しよう
コンバーターがあれば簡単に好きなインクを使え、万年筆の楽しみ方の幅がぐっと広がります。
使い方もそこまで難しくないので、本記事を参考にマスターしてしまいましょう!
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