万年筆の書き方・持ち方について、悩みはありませんか?
僕は昔「こうかな、、」と我流の持ち方をして、書きづらさを感じていました。
その後に万年筆に詳しい方から教えてもらったり、書籍を読んだりして持ち方について学びました。
持ち方・書き方の悩みを解消すれば、万年筆本来の書き味をもっと引き出せるかもしれません。
この記事では、万年筆を快適に使いこなすための持ち方や書き方について詳しくご紹介します。
これから万年筆を使い始める方も、長年使っている方も、ぜひ参考にして万年筆の書き味を最大限に引き出しましょう!

書き方・持ち方についての悩みを解決しよう!
万年筆の持ち方・書き方に完全な正解はない(人それぞれ!)
いきなりにはなりますが、、
万年筆の持ち方や書き方には、「100%これだけが正しい!」というものはありません。
書きたいものや書く人によって、使い方は様々です。
人にはそれぞれ書き方のクセが少なからずありますし、手の大きさや形も様々です。
完全に同じ持ち方をするように矯正すると、かえって書きにくくなってしまうこともあります。
また例えば絵を描くときに、とても細い線を書くためにはわざと万年筆のペン先を上下さかさまにして使うこともあります。
ただ一方で、意識しておくべき「基本」はあります。
常に誤った持ち方・書き方をしていると、万年筆の書き味を引き出すことができなかったり、万年筆に変なクセがついてしまったりします。
まずは基本となる万年筆の持ち方・書き方をマスターしましょう



ボールペンや鉛筆と違うところもあるけど、全然難しくないよ!
万年筆の基本的な持ち方
ペン先の刻印を上にして持つ


万年筆のペン先は、刻印がある表側とない裏側があります。
書くときには刻印がある表側を上に向け、右や左に傾かないようにしましょう。
「刻印」とは、ペンの太さ・製造元メーカー・ペン先の素材などの記載です。
模様が彫られた万年筆もありますし、上の写真のPILOTのKAKUNOだと笑顔マークが刻印されていますね。
この刻印が真上を向かずに斜めにねじった状態で書くと、ペン先が紙にひっかかるような感触があるなど、書きにくくなります。
ペン先から4~5センチ上を持つ


指を置く位置は、ペンの先からだいたい4~5センチ上がよいとされています。
これは、ペン先に指が近すぎると手に力が入ってしまって書きにくくなるためです。
万年筆によっては指を置くところに三角形のグリップや、ゴム製のグリップがあります。
基本的にはそのグリップ部に指を置くようにするとよいでしょう。
万年筆の基本的な書き方(角度・筆圧)
ペンは45度寝かせる


ボールペンは、ペン先に回転するボールが仕込まれています。
インクを含んだこのボールが紙の上を回転するとで、字がかけるのです。
よって、ボールペンはペンと紙が垂直に近いほど書き味がよくなることになります。
一方、万年筆は事情が違います。
万年筆には裏表があり、どの方向でも同じようにかけるわけではありません。
万年筆のペンの先には「ペンポイント」と呼ばれる小さな塊がついています。
ここにインクが流れてきて、そのインクが紙に移ることで字がかけるわけです。
そのため、万年筆でしっかりと書くためにはペンポイントを正しく紙に当てる必要があります。
ペンポイントの紙への当たり方は、万年筆と紙がだいたい45度のときにベストです。
なお、万年筆は書きたい字幅に応じて、立てたり、寝かせたり、裏を使ったりもできます。
筆圧をあまりかけず、やさしく書く
万年筆は、筆圧をかけなくても紙にインクが移動する「毛細管現象」を利用する筆記具です。
必要以上に筆圧を強くしなくても、サラサラと気持ちよく書けます。
一方ボールペンは、ペン先のボールをコロコロと回転させる必要があります。回転させるにはペンを紙に押し付けなければならず、ある程度の筆圧を必要とします。
そのためボールペンを使うときと同じ感覚で筆圧をかけてしまうと、ペン先のスリットが開いてしまって、逆にうまく書けません。
特にボールペンに慣れている人は、万年筆を使う際には意識して筆圧を弱くしてやさしく書きましょう。
万年筆の持ち方・書き方についてのQ&A


ペンの持ち方にクセがあるけど、直すべき?
ケースによると考えます。
もし無理せずに治せるようであれば、上で説明した適切な持ち方・書き方に近づけた方が書き味が良くなる可能性が高いです。
一方で、誰でも大なり小なり持ち方・書き方のクセがあります。
直そうとすると手に負担がかかったり、書きにくくなってしまうようであれば無理に直すのは得策ではありません。
もしクセによって書き味が悪くなっているのであれば、万年筆の方を調整するという手もあります。
ペンドクターと呼ばれるペン先を調整してくれる専門家の方もいるので、相談してみましょう。
文字を書いているとインクがかすれてしまうけど、これって書き方のせい?
まずは、上で説明した「適切な持ち方・書き方」で書いてみましょう。
それでしっかりとインクが出るのであれば、書き方が原因の可能性が高いです。
一方、それでもかすれるようであれば万年筆自体に原因があるかもしれません。
こちらの記事にインクが出ないときの原因と対処法をまとめていますので、参照ください


KAKUNOなどの三角形のグリップの万年筆を使うと刻印が上を向かない。持ち方が悪いの?
一般的には、三角形の万年筆のグリップの方が正しいです。
KAKUNOなどの三角形のグリップは、人差し指と親指の2本が上側に位置し、中指が下から支える形になるように設計されています。
一方、ボールペンや鉛筆などの書くために筆圧が必要なペンを使っていると、筆圧をかけるための人差し指が上に来がちです。
そのような書き方が癖になっていると、ニブの左側の面が下に着てしまいます。
これを機に、三角形のグリップを握って刻印が上に来るように持ち方を直してもいいかもしれません。
ただもし気になるのであれば、三角形のグリップを無理に使わないというのも選択肢の一つです。
万年筆の持ち方・書き方についてのまとめ



この記事のまとめだよ!
- 書き方・持ち方はひとそれぞれで違っていてもOKだが、基本はおさえておくべき
- 書き味に影響を与えるのは「角度」と「筆圧」
- 角度は45度が基本
- 筆圧はあまりかけずやさしく書く
万年筆はどうしてもボールペンや鉛筆と違うところがあります。
書ける向きが決まっている、というのに最初は慣れないかもしれません。
ただ、その反面万年筆でしか味わえない書き味があります。
無理をせず、ただ万年筆の書き味を引き出せるように、出来るだけ基本に近づけられるように意識してみましょう。
参考資料
- 『万年筆バイブル』(2019)、講談社
- 『万年筆の教科書』(2014)、玄光社
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