はじめまして。万年筆専門店のスタッフのちゃくまといいます!
このページでは「万年筆のはじめ方」を何処よりもわかりやすく、丁寧に、初心者の方でも全く問題ないように解説します。
僕は2011年に万年筆に出会ってその魅力を知り、店員としてもこれまで数百本の万年筆をお客様にご紹介・お渡ししてきました。
一方で、

万年筆は使ってこそ!買った後の使い方まで伝えたい。
との思いから2025年にこのサイトを立ち上げました。
この記事は、万年筆を始めようか迷っている超初心者向けに、
・そもそも万年筆ってどんなもの?
・ボールペンとの違いってあるの?
・使い方が良くわからない
・メンテナンスって大変なんでしょ?
・使うには他に何が必要なの?
このような疑問を全て解決します!



4ステップで説明しているので、目次から気になるパートに飛んでもOKです!
ステップ1.万年筆を知る


まずはそもそも万年筆についての超基本として、万年筆を使うメリットや仕組みなどについて解説します。
万年筆を使うと何が嬉しいの?
ボールペンや鉛筆、サインペンなど、文字を書くための便利な筆記具はいくつもあります。その中でなぜあえて万年筆を使うのでしょうか?
「万年筆ってなんか敷居が高い」
「すぐに壊れそう。。」
「手入れをするのが面倒くさい」
僕も初めての万年筆を父からもらったとき、こう思っていました。
しかし、使い始めて10年。これまでに気づいた万年筆の魅力の一部だけ紹介します。
・長時間書いていても疲れにくい
・きれいな字がかきやすい
・メンテナンスをすると愛着が湧く
・万年筆を使う時間自体がとてもぜいたく
・装飾が美しく見ているだけで楽しい
・複雑な内部機構が理系心をくすぐる
・胸元からサッと取り出すとカッコいい
・祖父からもらった万年筆がいまだ現役
・数えきれないほどの美しいインクがある
・なんとも味のある絵が描ける
・安いものは1,000円以下で買える



まだこれからも増えそう!
万年筆の小さいボディには、他の筆記具にはない魅力がいっぱい詰まっています。
万年筆を使うとどんな字がかけるの?
万年筆の魅力の1つに、その書き味があります。例えばボールペンと比較してみましょう。
万年筆の字 | ボールペンの字 |
---|---|
筆圧をかけずに書くのでやわらかな輪郭の線になる 筆圧/角度/速度によって濃淡が代わり、表情豊かな線が書ける インクが乾きにくく、にじみなどの味が出る | 筆圧をかけて書くのでくっきりとした輪郭の線になる 筆圧/角度/速度にあまり影響を受けず一定の線が書ける インクの粘度が高いのであまりにじまない |
また、使い続けることで書き味が変化することも万年筆の特徴です。
ペン先には硬い合金が使われています。この形は長く使うことで持ち主の握る角度になじみ、これが手放すことのできない書き味を生み出します。



万年筆は使うことで持ち主に合った書き味に変わるよ!
万年筆の構造・仕組みはどうなってるの?


万年筆ってとても複雑そうに見えますよね。
でも実はボールペンと共通の部分もあり、ざっくりいうと万年筆特有なのは「ペン先」と「ペン芯」だけなんです。
ペン先
・金属でできており紙と直接接触する部分
ペン芯
・ペン先を裏側から支える
・ボディからのインクをペン先に送る部分


このペン先とペン芯によって、万年筆独特のインクが出る仕組みを実現しています。
具体的には、万年筆は「毛細管現象」という物理現象を利用して、インクを紙へ押し出します。このため万年筆は筆圧はほとんど必要ありません。
万年筆の構造やインクの出る仕組みについては、こちらの記事で図を使って説明しています!


万年筆を始めるには何が必要?いくらかかるの?


万年筆を使うのに他に必要なのはインク関係のもので、だいたい500~2,000円程度です。
ただし万年筆のモデルによってインクの補充方法が違い、必要なものが少し異なります。
一番簡単に始められる「カートリッジ式」であれば、別売りのカートリッジは数百円で購入できます。
一方、コンバーター式や吸入式であればインクを瓶で買う必要があります。初期投資は少し高いですがインクボトルの容量は大きいため、トータルではカートリッジよりもコスパは良くなります。
ステップ2:万年筆を見つける


次は使う万年筆を探しましょう。とはいえ万年筆には様々なモデルがあり、どれを選べばいいのか悩みますよね。
・メーカーはどこにする?
・デザインは?
・インク補充形式は?
・ペン先素材は?



ステップ2では、万年筆をどう選べばいいかを丁寧に解説するよ!
前準備:まず予算を決める
万年筆は安いものは数百円から、高いものは数十万円します。自分が買える万年筆を効率よく探すためにも、まずは予算を決めましょう。
メーカーにもよりますが、価格帯のイメージとしては以下が一つの例です。
5,000円未満
・各社のエントリーモデル
・最初の1本としては十分
5,000円~30,000円未満
・金のペン先のものが買える
・万年筆の書き味を味わいたいなら
30,000円以上
・各社のフラッグシップモデル
・最高の書き味を味わいたいなら



最初の1本なら、まずは5,000円まででも十分だよ!
例えば日本の3大メーカーであるパイロット・プラチナ・セーラーの万年筆は1,000円前後から買えます。
いずれも非常にクオリティが高く1,000円とは思えません!気になった方は以下参照ください。


予算が決まれば、あとはその中で候補となる万年筆を絞っていきます。
とはいえ万年筆の種類は膨大でなかなか選べない!という方のために、選び方の観点を3つ紹介します



下の選び方①~③のうち、気になった方法から試してね!
選び方その① デザインで選ぶ
万年筆の魅力の1つは見た目のカッコよさです。持っていてモチベーションが上がるお気に入りの一本を見つけるには、見た目がとても重要です。
例えば、
・重厚感のある黒のザ・万年筆デザイン
・パステルカラーでかわいいデザイン
・ビジネスでも使える直線的でスタイリッシュなデザイン
・金の装飾が入ったゴージャスでエレガントなデザイン
・他の人とかぶらないユニークなデザイン
おぼろげでも、上のようにどんな雰囲気の一本が欲しいかのイメージを持っておくのがオススメです。



お店で「こんなイメージの万年筆を探してて」と伝えれば、店員さん目線で候補を選んでくれるよ!
選び方その② 書き心地や機能性で選ぶ
書き心地や機能性にこだわるなら、まず考えるべきは「ペン先の素材」と「インク補充形式」です。
まず一つ目のペン先の素材には鉄製と金の2種類があり、書き味が変わります。
鉄製のペン先 | 金のペン先 (金ペン) |
---|---|
素材:ステンレス 書き味:硬い(カリカリ) 耐久性:低い(金ペンに比べ腐食しやすい) 価格:安い | 素材:14K(金58.5%), 18K(金75%)等 書き味:柔らか 耐久性:高い(金なので腐食しにくい) 価格:高い |



カリカリ書きたいなら鉄製、万年筆特有の柔らかさを味わうなら金ペンがオススメ!
二つ目のインク補充形式には、カートリッジ式、コンバーター式、吸入式の3種類があります。
カートリッジ式 |
---|
![]() ![]() |
カートリッジという小さなプラスチック製の容器にインクが入っている ボトルインクを買う必要がない |
コンバーター式 |
---|
![]() ![]() |
コンバーターという容器を万年筆に装着 ボトルインクからコンバーターの吸入機構を使ってインクを吸い込む |
回転吸入式 |
---|
![]() ![]() |
万年筆にインクの吸入機構が内蔵 高価格帯の万年筆に多い |



手軽に使いたいならカートリッジ式がオススメだよ!
選び方その③ メーカーで選ぶ
世界には主なものだけでも20を超える万年筆メーカーがあります。
各社それぞれで特色・ストーリー性のある万年筆を作っています。そのため、気になるメーカーから選ぶのも手です。
- パイロット(日本) … 1918年創業、幅広いラインナップを持つ日本を代表するメーカー
- セーラー(日本) … 1911年創設、ひらがなや漢字の書き味を追求し続ける日本最古のメーカー
- プラチナ(日本) … 1919年創業、古き良きものを大切にしながら新たな技術にも挑戦
- モンブラン(ドイツ) … 万年筆の最高傑作「マイスターシュテック」シリーズを手掛けるブランド
- ペリカン(ドイツ) … ドイツの老舗メーカー。子供向けからトラディッショナルなモデルまで



最初の1本であれば日本の3大メーカーの中から選べば間違いないよ!
選び方①~③でほしい万年筆の方向性が決まったら、ネットで探してみよう!
実際に万年筆を探す際には、お店が近くにあるのであれば店頭で店員さんに探してもらうのがオススメです。
出してもらった万年筆を見つつ、「もっとこういうのが欲しい」「ならこれは?」というやりとりの中で理想の一本を探しだすことができます。
一方でお手軽に探したいのであれば、KINGDOM NOTE(キングダムノート)のウェブサイトを使ってみましょう。
キングダムノートは国内随一の所蔵数を持つ万年筆専門店であり、ウェブサイトでは条件を絞って万年筆を検索できます。
まずはウェブサイトにアクセスしてみましょう。
左の方に「かんたん検索」があるので、こちらをクリックします


画面が切り替わり、条件を入力できるページが表示されます。
ここではキーワード、メーカー、新品/中古、価格帯の他にも、カラー、吸入機構、ペン先素材、字幅など細かく条件を指定することができます。
条件を入れると、自動的に下の方に結果の件数が表示されます。「検索結果を見る」のボタンも表示されるので、こちらをクリックします。


そうすると、条件に合致した在庫ありの万年筆が表示されます。





この中からデザインの気に入ったものを探していけば、効率的にお気に入りの一本を見つけられるね!
ステップ3:万年筆を買う


欲しい一本が決まったら、いよいよ購入です!
万年筆の購入方法は大きく分けると、「実店舗で買う」「オンラインショップで買う」「フリマやネットオークションで買う」の3パターンがあります。
また万年筆は中古品も多く売りだされており、安くお得に買うこともできます。
それぞれ一長一短であり、気を付けるべきポイントも異なります。メリデメを考えた上で自分に最適の買い方をしましょう。
実店舗・オンライン店舗・アプリそれぞれで万年筆を買うメリデメと注意点
実店舗 | オンライン店舗 | フリマ、 オークションアプリ |
---|---|---|
キングダムノート等 | 伊東屋Amazon 楽天市場等 | メルカリ ヤフオク等 |
書き味を確かめられる 在庫ない場合多い | ラインナップ豊富書き味を確かめられない | 割安で購入できる 保証受けられない 不良品のリスク |
基本的なメリデメと注意点は、万年筆以外の一般的な商品とほとんど同じです。
万年筆で特に気を付けるべき点は、万年筆は人によって書き味や使い心地が違うため、試さないで買うと「思っていた書き味と違う」と後悔する可能性が高いことです。



初心者であれば実店舗で購入することをおすすめします!
人によっては一生ものの万年筆を買うこともあると思います。書き味や握ったときの感触をとことん確かめて、納得いってから購入しましょう。
また、通常の価格よりも安く買えるメルカリやYahoo!オークションも選択肢の一つです。一方で不良品のリスクがあるので注意しましょう。
メルカリやヤフオクで万年筆を購入するときに注意すべきことは下の記事を参照ください。


新品と中古のどっちを買うか
万年筆は中古のものを買うこともできます。新品と比べたメリット・デメリットは以下です。
新品 | 中古品 |
---|---|
個体差がなく、品質が安定している メーカー保証が受けられる 大きな割引などはない | 価格が安い 生産終了したモデルも買える 個体差が大きく、前オーナーの書きクセがついたものや不良品もある |
初心者のうちは、中古品よりも新品を買うことをおすすめします。
エントリーモデルであればそこまで高価格なものはないので、まずは品質の保証された新品の万年筆を使って慣れましょう。
一方で、二本目・三本目を買う場合や、既に生産終了したビンテージ万年筆を買う場合は中古品も選択肢に入ってきます。
その場合も基本的にはフリマアプリではなく、整備され品質がしっかり保証された万年筆が買える万年筆専門店がおすすめです。



中古万年筆を多く取り扱っている店舗はこちら!
- KINGDOM NOTE 新宿に実店舗がある筆記具店(取り扱い本数多く行くだけで楽しい)
- Pen Cluster 銀座に実店舗がある万年筆専門店(まだ行けていない、、近々訪問予定)
- PEN-LAND 名古屋に実店舗がある万年筆専門店(雰囲気のよいおしゃれな専門店)
ステップ4 : 万年筆を使う





万年筆を買ったらさっそく使ってみよう!
お店で購入した万年筆は既に洗浄されているので、インクを入れればそのまま使えます。
一方でフリマアプリやYahoo!オークションで個人から購入した場合は洗浄されていない場合があります。
その場合はまずは洗浄をする必要があるので、下の記事を参照して万年筆を綺麗にしましょう。


インクの入れ方
インクの入れ方は万年筆によって異なるので、正しい方法でインクを補充しましょう。
新品であれば説明書が付属しているので、説明書をしっかり見てから始めましょう。
カートリッジ式 |
---|
![]() ![]() |
①首軸から胴軸を外す ②ペン先を上にしながら、新しいカートリッジを首軸に真っすぐ差し込む ③胴軸を首軸に戻す |
コンバーター式 |
---|
![]() ![]() |
①首軸から胴軸を外す ②コンバーターを首軸に真っすぐ差し込む ③ペン先をインクボトルのインクにつける ④コンバーターのお尻のノブを回してインクを吸う ⑤ペン先についた余分なインクを拭く ⑥胴軸を首軸に戻す |
回転吸入式 |
---|
![]() ![]() |
①ペン先をインクボトルのインクにつける ②万年筆のお尻のノブを回してインクを吸う ③ペン先についた余分なインクを拭く |
万年筆の書き方
万年筆はボールペンや鉛筆と異なってペン先に表と裏があり、一定の角度・方向で書く筆記具です。
具体的には以下を気を付けると気持ちよく書くことができます。
・ペン先の刻印を上にして持つ
・ペン先から4~5センチ上を持つ
・ペンは45度寝かせる
・筆圧をあまりかけず、やさしく書く


特に筆圧については注意が必要です。
万年筆は、筆圧をかけなくても紙にインクが移動する「毛細管現象」を利用する筆記具です。必要以上に筆圧を強くしなくても、サラサラと気持ちよく書けます。
ボールペンを使うときと同じ感覚で筆圧をかけてしまうと、ペン先のスリットが開いてしまって、逆にうまく書けません。
特にボールペンに慣れている人は、万年筆を使う際には意識して筆圧を弱くしてやさしく書きましょう。
万年筆の書き方・持ち方についての詳細は下記の記事を参照ください。


メンテナンス方法
万年筆はその名の通り一生使い続けられる筆記具です。しかし適切な手入れをしないと万年筆の性能が落ち、最終的には故障してしまうかもしれません。
万年筆が書けなくなる理由で最も多いのは、インクが万年筆の内部で固まってしまうことです。
毎日少しでも書くと万年筆の中のインクが流れてインクが固まることを防ぐことができます。



万年筆の一番のメンテナンスは毎日使うことだよ!
一方で、万年筆を毎日使っていたとしても、インクの出が少しずつ悪くなっていきますまたどうしても万年筆を毎日使い続けることが難しい場合もあります
そのため、2~3月に一回くらいは万年筆を洗浄をしてあげましょう。インクの出を復活させ、万年筆を長く使うことができます
詳しい洗浄情報はこちらの記事を参照ください。


まとめ:万年筆を使う贅沢な時間を楽しもう!


単に字を書くだけなら万年筆よりも便利な筆記具はたくさんあります。
一方で万年筆はとっつきにくいし、メンテナンスも必要だし、ペン先は壊れやすいし、、
手のかかる子供のようです。
しかし不思議なもので、それでも使い続けているとなんともいえない愛おしさが芽生えてきます。
自分だけの相棒となった万年筆と過ごす時間はとても贅沢で、気持ちをリフレッシュさせてくれます。
万年筆を始めたあとは、字を習ってみたり遊んでみたり、万年筆を楽しみつくしましょう。こちらの記事ものぞいてみてください!




コメント